「座敷童カレシ番外編☆にいすいVSタコタコタコ星」公開!
その他番外編小説作品

座敷童カレシ番外編☆にいすいVSタコタコタコ星【イベントで配布した短編小説(加筆修正版)です!】

その他番外編
この記事は約20分で読めます。

----------
レッドデビル☆カンパニー・別館 ラーメン部 厨房
----------

熱気をまとったラーメンが目の前に置かれて、湯気の向こう、イカパチの瞳がキラキラと輝いた。

……正直、少しもどかしい。仕込みの時間も、使える道具も、買い出しに行ける店だって限られていた。だが、その中で全力を尽くすのも、悪くないッ!!

目の前にあるのは、今の俺(マリリン)にできる最高の一杯……とろっと煮卵味噌ラーメン!!

半分にカットされた煮卵がずらり並んでいる。白身にはしっかりと甘辛い味が染みている。黄身は半熟ッ、とろ〜っとしてキラッキラ。スープに溶けると、よりまろやかで濃厚な味わいに変化する。その変化を、楽しんでほしい。

麺は、味噌スープの旨味と、とけた卵のまろやかさが絡み合う、噛みごたえのある太い縮れ麺。器はあえて、渋くて力強い黒ではなく、マットな灰色を選択。

サイドメニューとして、あっさり爽やかな、サラダ小鉢を添える。プチトマト付きだ。

……「可愛い」だろ?

タコタコタコ星の可愛くも洗練された空気感と好みを、俺なりに演出ッ!!♪

イカパチ「別館は三階建てで、ぜんぶがラーメン部専用のフロア。広さは十分あるのに……厨房だけはちっちゃくて、鍋も小さいんだよね。それなのに、こんなに本格的なラーメンを作れるなんて、本当に凄いよ!」

マリリン「どうしてラムネに、でっけぇ厨房用意してやらなかったんだよ!」

イカパチ「わかんなかったんだ☆正直、興味なかったし。袋麺とかカップ麺とか、実家のキッチンとか……そういうのしか思い浮かばなかった。でもラムネが青色の星に出発した後、テレビでラーメン店の厨房が映って……あ、こんな感じのものが欲しかったんだなって気づいて……ちょっと申し訳なくなったよね。ラムネ的には、社長に厨房作り直させるのも面倒だし、別の星で勝負した方が早いし、目立つし……売れるって思ったんだと思うよ。」

マリリン「なるほど。それで、勝負の一杯として、桜えびえびタコラーメンを考えたのか♪」

イカパチ「それじゃあ、いただきま~す!!♪」

箸を握り直し、麺を持ち上げて口を開けた、その時……

大地が大きく揺れた。

マリリン「な、なんだ!?!?」

イカパチ「もう!ラーメンこぼれたらどうするの!?プンプン!!」

ひっくり返って尻もちをついている俺を横目で見ながら、イカパチは慌ててラーメンを魔法で保護する。そして、俺のすぐそば……壁に貼られたカエルのキャラクターのシールを指さした。

イカパチ「マリリン!そのシールはがして、中のスイッチ押して!!」

マリリン「はぁ!?これかよ……!?」

シールをはがす。ペリッ、と小さな音。そこに現れたのは、真っ赤に光る、大きなスイッチ。

表面には太い字で「絶対押すな☆」と書かれている。

マリリン「……な、なんだこれ……ほんとに押していいのか……?」

迷いながらも、スイッチを押し込む。

カチリ。

ドォンッ!!!ドォンッ!!!

更なる轟音、衝撃

そして、 浮遊感!!!???

何が起きてるんだ!?頭が真っ白になる。

立ってられねぇッ!

机に必死でしがみついた。

窓の外の景色がピューンと流れていく。

ビルの窓が見える。屋上が見える。雲が見える。飛行機が見える。

……そして暗闇になる。

ちらりとイカパチを見ると……彼は魔法で保護したラーメンを机に固定し、何事もなかったかのように食べていた。

イカパチ「……なにこれ、美味しい!!本当に美味しいよ!」

マリリン「食ってる場合じゃねぇだろ!!何が起きてるんだ!?」

揺れが収まり、俺はおそるおそる壁のスイッチをもう一度見て、確認する。

小さなモニターがついていて、文字が表示されていた。

【別館単独緊急脱出ボタン(宇宙)・完了】

マリリン「はぁ~~~!?!?お、おいイカパチ!どういうことだ、説明しろ!!」

イカパチはラーメンをすすりながら、ぷいっと顔をそらす。

イカパチ 「うるさいなぁ……食べる邪魔しないで☆しなないし、大丈夫だよ。

……ヒマでしょ?もう一杯作ってよ!!十杯くらい食べないと、満足できないよ。」

マリリン「アトラクションか?遊園地かよ……。大丈夫ならまぁいいけどよ……。あんま驚かせんなよ?

ラーメンなら、何杯でも作ってやるから!!期待して待ってろよ~~~!!」

----------
レッドデビル☆カンパニー・本社
バトル専用広場 にいすい視点
----------

崖から崖へと飛び移りながら、僕とブレイブ☆タコキスは魔法を撃ち合う。その時、目の前で花火が炸裂した。目くらまし作戦!?ま、眩しい……!!

にいすい「うっ……!」

視界が乱れ、金棒を落としてしまう。

その隙に、ブレイブ☆タコキスが一気に距離を詰めてきた。

まずい!

ブレイブ☆タコキスが仕掛けてきたのは、魔法攻撃……ではなく、強烈な拳

体をひねり、遠心力を乗せた横殴りだった。

頬に衝撃。

僕は地面に崩れ落ちる……!!

にいすい(いったぁ……殴られたのなんて、は、はじめて、だよ……ッ)

顔を上げると、すでに頭上にはブレイブ☆タコキスの足。

踏みつけられる!?

慌てて転がり、間一髪でかわす。

足が落ちた地面は砕け、崖ごと奈落の底へと崩れ落ちた……。

にいすい「はぁ……ッ!」

息を荒げ、なんとか立ち上がったその目の前。

もうブレイブ☆タコキスが構えている。拳を横から大きく振り抜き……

にいすい「同じ攻撃は、効かないよ!」

体をのけぞらせ、ギリギリで拳をかわす。

すぐさま体を戻し、前のめりになったブレイブ☆タコキスへ、鋭いカウンターのストレートを狙う……しかし、一直線に突き出した拳は……寸前でひらりとかわされた。

ブレイブ☆タコキスの身体が回転し、その流れでアッパーを狙ってくる……下から弾かれる拳を、僕は横滑りでかわした。

にいすい「今だ!!」

闘志をこめた右ストレート。真っ直ぐ鋭い一撃が、ブレイブ☆タコキスの胸元に突き刺さった!

ブレイブ☆タコキスは大きくのけぞり……それでも、ぐっと足を踏ん張る。その反動で……頭突きを仕掛けてきたッ!?

にいすい (そ、そんなのあり!?)

衝撃で視界がチカチカ……僕はふらつき、膝をついた。

乱暴すぎる……!

まさかこんな戦い方までしてくるなんて。

これが、タコタコタコ星人のギャップ?正直、ちょっと怖い。

頭がふわふわして、右手はずきずきと痛む。

……はじめてこんな風に人を殴った。

胸の奥に、じわりと申し訳なさが広がる。

……。

でも……その直後のブレイブ☆タコキスの挑発が、僕の心をグラグラ揺らした。

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「はじめて人殴ったん?それで今更罪悪感?優しいなぁ。

ほんまは殴る側に立つ覚悟なんか、最初から無かったんとちゃう?」

思わず睨み返して、気がついた。

さっきのパンチ攻撃……あれはタコパチじゃなくて、ミニキスの技なんだ。優しそうに見えるのに、実は喧嘩上等、オラオラタイプな一面……!?闘争心を燃やしているミニキス……僕の本気を引き出そうとしているらしい。そんな挑発……僕はのらないよ。冷静に、受け流してみせるさ。

と思っていたのに……。

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「はぁ、……オレは本気でやりたいねん。

なぁ、もうやめる?まだやる?

……ビビってるん?

そんなんじゃ、マリリン守られへんで(笑)

……!!

ま、マリリンは今、関係ないでしょ!?

にいすい(そうだ、そうだよ。本気で戦う覚悟なんて……できてなかった。自分が傷つくんじゃなくて、人を傷つけることがこんなに痛いなんて……。

でも、それと同時に、安心したんだ。

自分が「殴れる人」なんだって、よくわかったから。

僕を挑発するのはいい。殴られても、笑われても構わない。

でも大切な人を、マリリンを……そんなふうに使うな!

ぅう……

うう……

うう~ぅう……

ぅううう~~!!!!(怒りMAX)

正しいのかなんて関係ない、もう迷わない、ためらいもしない。

全部、君に向けてやる!

次は怒りで、殴ってやる!!

今この瞬間、僕がやりたいのは一つだけ……

君を……叩き潰す!!!!

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「ヤバッ!にいすい激おこだよ!ミニキス、ちょっと飛ばしすぎじゃない?」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「や、やらかした……!言い過ぎたかもしれへん……!!」

いつの間にか戻ってきていたフィカキスが、崖をぴょんぴょん飛び越えながら近づいてくる。

フィカキス「あかんやん、ミニキス、学生時代の喧嘩番長が出てる!!」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「にいすい結構強くて、戦うのおもろいから……!オレ、熱くなりすぎてるんや……!自覚はある…‥!!誰かオレの闘争心、冷ましてやぁあ~~!!!」

僕の額から、角がにょきりと突き出す。

血走った目は真っ赤に充血し、白目を染め上げた。

全身の筋肉がメキメキ、バキバキと軋み、皮膚の下で不気味にうごめく。

足元から伸びる影は膨れ上がり、異形のシルエットをつくりながら、ブレイブ☆タコキスを覆いかぶすように迫った。

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「きゃーー!妖怪っ!!」

フィカキス「鬼~~ッ!!」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「顔、こわすぎぃいい!!!」

ブレイブ☆タコキスは慌ててフィカキスを肩に乗せ、そのまま背を向けて逃げ出した。

僕は追いかける。

右手を振り下ろすたびに瓦礫が粉々に砕け、轟音が響き渡る。

必死に逃げるブレイブ☆タコキスは、叩きつけられても指の隙間からにゅるっと抜け出し、本社ビルの方へ、飛ぶのも忘れて全力疾走している。

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「にいすいごめんなさい!前言撤回するから!!ほんまごめんなさい~~!!」

怒りの魔法が本社ビル全体を包み込み、ゴゴゴ……と建物ごと持ち上げた。

慌てたレッドデビル☆カンパニー社員たちが「うわー!」と叫びながらピューンと飛んで逃げていく。

空っぽになった本社ビルを……新しい金棒へと変形させる。赤黒いオーラをまといながら、ブレイブ☆タコキスを狙う。

真っ赤に染まった空。怒りの竜巻が唸り、嵐が暴れ狂う中、僕は暴走するとなって迫る。

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「はぁ、はぁ……なんかヤバいよ!!絶対怒らせちゃダメなタイプの妖怪だったんだ!!」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「ぼー力とぼー言はアカンねん……ほんまに……言っていいことと悪いことがあるんや……。」

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「ミニキス、……もう、やっちゃう??」

フィカキス「や、やるって……アレを、か!?!?」

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「そう。イカパチが来ないってことは、もう宇宙に逃げてる。つまり、やっちゃってもいいってことだ!」

ブレイブ☆タコキスは立ち止まり、向き合って……新しいステッキを取り出し、勢いよく宙へ掲げた

赤と白の光が爆ぜ、星全体の空気がピリピリ震え、世界がざわめきはじめる。

ステッキに巻き付きはじめた炎は、渦を描きながら広がって………

さぁ、解き放て!!

それは、一撃で星を燃やし尽くす、ブレイブ☆タコキスの固有攻撃魔法。

.  . • ☆ . ° .• °:. *₊ ° . ☆
ブレイブ☆タコキス
「タコパチ☆ファイヤー!!!」
.  . • ☆ . ° .• °:. *₊ ° . ☆

激しい炎がタコタコタコ星を丸ごと包み込む。痛みや恐怖を感じる暇もない。

全タコタコタコ星人に残ったのは「ヤバッ」という感覚だけ。

星そのものが大爆発し、星は光の粒となり、それは星のはなびらのように宇宙へ舞い散っていった。

宇宙に避難中のちわたたちは、宇宙船の窓からその光景を見て、絶叫する。

ちわた「うわ~~!やっぱりこうなるのかよ!!」

別館ごと宇宙に避難していたイカパチはマリリンを蹴飛ばし、机の下へ押し込んだ。

マリリン「いってぇ!!何すんだよ!!離せ!!」

イカパチは肩をすくめて笑う。

イカパチ「こんな刺激的な光景、お子様に見せるわけにはいかないよね☆」

マリリン「お子様!?!?俺が!?!?」

星のはなびらが舞い散る宇宙。ぽつんと浮かぶ、ブレイブ☆タコキスは、次の魔法を解き放つ。

それは……滅びた星をまるごと復活させる、ブレイブ☆タコキスの固有回復魔法。

.  . • ☆ . ° .• °:. *₊ ° . ☆
ブレイブ☆タコキス
「タコキスヒール☆ギャラクシー!!!」
.  . • ☆ . ° .• °:. *₊ ° . ☆

爆散した光の花びらが、再び集まって渦を巻く。炎に焼かれた星は、まるで時間を巻き戻すように甦り、再び輝きを取り戻した。

その瞬間、全タコタコタコ星人の心に浮かんだのは……ただ一言、

(またか~ぁ)

都合が悪くなると、星を滅ぼしてから再生する。タコタコタコ星ではよくあることだ。

そしてタコタコタコ星は、何事もなかったかのように日常を取り戻していった。

----------
レッドデビル☆カンパニー 別館
高級ホテルの一室
----------

僕(にいすい)は目を覚ました。ふかふかの大きなベッドに横たわっている。

ゆっくり起き上がると、真っ赤なシックな椅子、金色に輝く机、きらびやかな花瓶が目に入った。上品な香りが漂い、ここが豪華なホテルの一室であることを実感する。

大きな窓の外には、レッドデビル☆カンパニーのビル群と、澄み切った青空が広がっている。

マリリン「にいすいッ!!!何してんだよお前……!!」

マリリンが部屋に入ってくる。

マリリン「ラーメン作り終えて、イカパチと本社に戻ったら、にいすいがいなくて……びっくりして探しまわっちまっただろ!!なんでもうホテルで爆睡してんだよ……!

……まぁ、宇宙船の操縦とかで疲れてたんだろうけど。それでも、せっかくの旅行なのに、もったいねぇだろ!!観光だ、観光!レッドデビル☆カンパニーばっかじゃなくて、色んなラーメン店に行きたいし、あのでけぇ観覧車にも絶対乗るからな!

明日の朝には帰るんだからよォ!!!

にいすい「わかった、わかったって……!!」

その時。コンコンと控えめなノックの音がして、ドアが再び開いた。

入ってきたのは、ミニキスとタコパチ、そしてフィカキス。ミニキスは肩をすくめ、気まずそうにしている。タコパチはいつもの調子でにこにこしているけど、その笑みはどこかぎこちない。フィカキスは無言のまま、じっとこちらを見ている。

ミニキス「にいすい……ほんま、ごめん。」

タコパチ「僕たち、超反省してて……!悪気はほんとに無いんだよ!、気が付いたら、相手が動かなくなってるときがあるってだけでぇ……僕たち、強くて優しい魔法戦士だし、宇宙の平和願ってるしぃ~許してほしいっていうかぁ!!!」

フィカキス「タコパチ、あんまり言い訳すんなって!」

僕は首を傾げる。

にいすい「な、なんのこと?」

マリリン「お前ら、何言ってるんだ?にいすい怒らせたのか?そんなわけねぇか。怒らせたらマジでやばいし……本当にすっげぇ怖いからな。気をつけろよ。」

その場に妙な沈黙が流れる。

にいすい「あ、もうこんな時間か……。僕たち、観光してくるよ♪」

立ち上がったとき、ドアがノックされ、軽い足取りでイカパチが入ってきた。

イカパチ「お疲れさま、みんな♪マリリンのラーメン、ほんっと、最高だったよ!いちばんいい宇宙船を用意しておいたからね♪十人は余裕で乗れるサイズだよ。整備しておくし、お見送りもしたいからさ♪、帰るときはまたレッドデビル☆カンパニー本社に寄ってね。」

にいすい「わかった。無事に帰れるってわかって、安心したよ……。」

イカパチ「それと、マリリン。外にラムネが待ってるよ。マリリンたちの様子を見に、わざわざ宇宙船で飛んできたんだって。顔を見たらすぐお店に戻るって言ってたけどね。」

マリリン「ほんとかよ!!、にいすい、俺、先に外に出てるから!!」

マリリンは大喜びで、駆け足で部屋を飛び出していった。ドアが閉まると同時に、残された僕たちの間に流れる、なんとも言えない気まずい沈黙。

……僕はぽろりと言った。

にいすい「……まだ、ちょっと怒りがおさまってないんだよね。お土産でも持たせてくれたら落ち着きそうかな。それから、娘の夏休みの課題に使えそうな、タコタコタコ星の写真も欲しいかな♪」

ミニキス「記憶あるんかい!!」

僕は軽く笑って肩をすくめる。

にいすい「冗談だよ……気にしないで。僕も熱くなりすぎちゃった。すごく、すごく反省してる。でも同時に、百年生きてきて、こんな大きな失敗をしたことは、ほとんど……なかったなって思うし、これも経験?……後悔はしてないんだ。

魔法のことも色々わかったし、刺激的な体験ができた。しばらくはバトルはこりごりだけどね。勉強になった。

青色の星もドタバタするときはあるけど……タコタコタコ星に比べたら、ずっと落ち着いてるんだなって実感したよ。」

タコパチ「そりゃそうだよ♪」

イカパチ「当たり前だよ☆」

二人が同時に言い切ったのがおかしくて、僕は思わずふふっと噴き出した。

フィカキス「……ほとんどって?」

ミニキス「あ、あんま突っ込むなって!」

僕はちょっと困った顔をして、目をそらしながら小声でつぶやいた。

にいすい「……若い時に、お酒でね……ははは。」

微妙な沈黙のあと、みんなの顔がくしゃっと笑顔に変わり、空気がやっと和んだ。

----------
翌朝・レッドデビル☆カンパニー 本社・中庭
----------

青空の下、僕とマリリンはピカピカの宇宙船に乗り込む。ツヤツヤの操縦席に腰を下ろす。外を見るとイカパチたちがまだ手を振っていた。

イカパチ「また来てね~!はぁ、マリリン帰したくないなぁ。美味しいラーメン毎日食べたいよ。クロサキ君にも食べてほしいし、レッドデビル☆カンパニーの全員に食べてほしい。」

タコパチ「また本気バトルしようね~☆」

ミニキス「ほんま楽しかった~!ありがとうな!!」

フィカキス「またな~!」

マリリンは名残惜しそうに「また来る!ありがとう!」と大きく手を振った。僕も笑顔で手を振り返した。

……操縦席に向き直り、右手でハンドルを、左手で発進用レバーを握る。

可愛い魔法使いたちが暮らす星。派手で眩しい魔法。刺激的なバトル。

ランダムで高速回転する特大観覧車。絶対入社したくないなぁと思ったレッドデビル☆カンパニー。

……タコタコタコ星は、想像以上にデンジャラスだったな。でも想像以上に冒険心がくすぐられて、楽しかった。

にいすい「マリリン、10秒後に飛び立つよ!」

マリリン「にいすい、操縦頑張れよ♪」

カウントダウンを始める。思い出が胸の中をじんわり温める。

さぁ、僕たちの星に帰ろう!

レバーを引くと、炎が吹き上がり、宇宙船は重圧と振動をまといながら勢いよく宙へ飛び立った。

----------
宇宙
----------

安定飛行を確認してから、僕とマリリンはイカパチからもらった紙袋をのぞいた。

中にはアルバム。タコタコタコ星の風景写真かな……と期待して開いてみる。……しかし……全部、イカパチのドアップ自撮りだった。

にいすい「やっぱり……。」

さらに紙袋には、もうひとつ。……どんなお土産だろう??手に取ってみる。

【タコタコタコ星名物・激辛デンジャラス☆タコタコスパイス
舐めたら思わず昇天!?ありえないレベルで刺激的な香辛料】

にいすい「……お土産、買えばよかったね。時間なかったけど。」

マリリン「……このスパイスが美味い可能性に賭けようぜ。」

僕はイカパチから受け取った大加速魔法陣のメモを取り出す。「これが正しい魔法陣。しっかり加速できるよ!」……と、イカパチはドヤ顔で言ってたけど。

マリリン「……お土産がコレだったんだぜ?そのメモも怪しいに決まってるだろ!」

にいすい「う、うーん……でも、一応ちゃんとした魔法式っぽいんだよなぁ……。」

シートベルトを外して立ち上がり、魔法を発動する。

……悪い予感は的中した。

ポン!!!☆☆☆

宇宙船は跡形もなく消滅し……

僕とマリリンは宇宙空間に取り残された。

マリリン「おいおいおい!!!またかよォ!!!

にいすい「信用しちゃダメだったぁぁ!!!」

絶望しかけたその時、キラキラの魔法陣が開く。こうして僕たちは、ブレイブ☆タコキスに拾われて、無事に青色の星に帰還した。

宇宙船……消えちゃった……正直、欲しかったな。

----------

帰宅後・ラーメン店(桜えびえびタコラーメン)・テーブル席
にいすい・マリリン・さっちゃん・レクチェール

----------

桜えびえびタコラーメンを食べ終えても、思い出話は咲き続ける。さっちゃんがにこにこしながら言った。

さっちゃん「宇宙船、新しいの買おうか♪もっと高性能で広いやつね。私たちも一緒に行けるように。」

レクチェール「私も行きたい!」

にいすい「僕はしばらく行きたくないけど……数年たったら、また行きたくなっちゃうんだろうなぁ。」

そう言いながら、マリリンの方を見る。

にいすい「そうだ、マリリン。イカパチにどんなラーメン作ったか、さっちゃんとレクチェールにも教えてあげてよ♪」

マリリン「聞いてくれよ~♪」

そこへ、ラムネさんがひょこっと顔を出す。

ラムネ「最高の旅だったでしょ?レクチェールちゃん、これあげるよ♪」

手渡されたアルバムを、レクチェールがわくわくしながら開く。中には……タコタコタコ星の色鮮やかな街並みや観覧車、きらめく魔法の光景が詰まっていた。

ラムネ「写真撮るの、結構好きなんだ。カメラも大好き。」

レクチェール「わぁ……!ありがとう!これで夏休みの宿題、なんとかなりそう!」

ラムネ「にいすいさん♪ちょっといい?」

ラムネに袖を引っ張られ、隅に移動する……。

ラムネ「社長、すっごく喜んでたよ。僕も鼻が高い☆でも……にいすいさんの魔法は「まだまだ」だって言ってた。だから、「魔法を学びに、またいつでも会いにきてねって。今度は僕が教えてあげるから」って言ってたよ。……社長のこと、僕は最強だと思ってる。絶対行きなよ♪」

にいすい「そっか、僕の魔法……まだまだ、か。

……うん♪それでいい。

まだまだだって言われないと、寂しいよね。伸びしろがあるってこと。

……これからも頑張ってみる。

次は、レベルアップした僕が、レッドデビル☆カンパニーの皆に会いに行くよ。

だから……、」

(自分のことは、まだまだだと思ってる。

きっと千年先になっても、そう思ってる。

守りたいものが、両手で数えられないくらい、いっぱいある。

家族も学校も、座敷童たちも……この星も。全部、大好き。全部、大切。

……でも僕一人でできることなんて、限られてる。

僕はきっと「天才」とか「最強の座敷童」とか「宇宙一の魔法使い」とか、そういう器、キャラじゃない。

それでも、やってみたいことが、いっぱいある!

僕にしかできないことがいっぱいある!!

……僕の挑戦は、きっと誰かの心を支えてる、前向きにしてる。

そう信じてる。

だからこれからも、自分らしく、がんばろう。

大好きなものを守って、守って、幸せに導くために。

自分の限界を、決めないために!)

にいすい「……次は負けないって言っといて♪」

【END】

あとがき

お読みいただき、ありがとうございました!

最近のタコタコタコ星……不都合なことがあると、星ごと燃やして滅ぼしてから復活させているらしい。しかも日常的に。なんてことするんだ、やんちゃすぎる。カチョロはたぶん怒ってる。でもお構いなし。自分の身は自分で守る。仲間がいるなら自分で守る。しんじゃったらどんまい。それがタコタコタコ星の価値観だから仕方ない。ほめともモジ君たちも、もう慣れている。

イカパチが星が滅ぶ瞬間をマリリンに見せなかったのは、マリリンがあまりにもまっすぐで、キラキラしていて、可愛かったから。思わず守りたくなってしまった。……珍しい。

そんな、いつも自分が暮らしている温かい環境とはかけ離れた、デンジャラスな空気に、つい惹かれてしまうにいすい。根がクレイジーだからではなく(ちょっとクレイジーなところはあるとも思うけど(笑))、とても真面目で優しいからこそ、自分と正反対の「自由でワルイ雰囲気」に憧れてしまうんだと思う。

にいすいは怒ると鬼になる。でもそれは短気だからじゃない。家族やマリリンを思う気持ちが強いからこそ、仲間のために怒れるんだ。マリリンが自分の体や心を大切にしなかったとき、にいすいは怒って叱ってくれる。でもタコタコタコ星では、鬼化して暴れてしまった。大切な人のためには上手に怒れるのに、自分自身の怒りを扱うのは苦手。それが、にいすいらしさだと思う。

優しくて、不器用で、一生懸命。でも余裕がなくなると、全部抱え込んでしまう。にいすいは献身的で、「皆を幸せにすること」が自分の幸せだと思ってるタイプ。ありがとう、という気持ちや言葉に支えられて、自分の軸を保っている人なんだと思う。もっと頑張りたくて、自分のことは後回しにしてしまうこともある。

だからこそ、周りはわかっている。受け止めるし、背中を押すし、にいすいが自分をうまく愛せないときは、皆が代わりに愛して支えている。

優しい人が優しくいられるのは、きっと

優しい人がそばにいるから♪

他の作品が気になる方はぜひ、以下の記事を参考に楽しんでいただけると嬉しいです♪

せっかくなので「にいすい特化」の荒花ぬぬ作品の歩き方も紹介(上からみていくとにいすいガチ勢になれます!)

①ゲーム「たまゆらのディネット」にいすい初登場作品

②ゲーム「座敷童カレシILOVEラーメン」にいすい登場作品

③小説「星のはなびら1(とりあえず2章までで)」 ソクミタの影を読むために世界観を把握……座敷童カレシからすると60年くらい前のお話だよ

星のはなびら1~永遠の恋と不死の星~(全九章完結)
「星のはなびら1~永遠の恋と不死の星~(全九章完結)」の記事一覧です。

④小説「ソクミタの影 全四話」 にいすいの過去と今がつながる!ソクミタ兄さんヤベェ~!

ソクミタの影(全三話完結)
「ソクミタの影(全三話完結)」の記事一覧です。

ソクミタ兄さんの歌もあるよ 同じ声優さんなのが嬉しいポイント♪

もっと知りたい方は星のはなびら1&2も読んでみてね♪

ありがとうございました。これからも応援よろしくお願いします!

荒花ぬぬ

↓【今の気持ちをポチッ】↓

ひとこと感想(匿名OK)