小説 星のはなびら(1章~最終章)&ノベルゲームがひとつの物語となって動き出す。ダークファンタジーな続編!不定期で1話ずつ公開します。「小説しかしらないよ」「ゲームしかしらないよ」(実はキャラしかしらないよ)…って方も、知っていきながら楽しめる内容にしていきますので、興味がある方はこの機会にぜひ♪(●´ω`●)
オープニングテーマ曲「ゲームオーバー」
読み始める前に
異性同性間の恋愛表現、残酷な表現を含みます。作品をお読みになる前に以下の注意事項を必ずご確認ください。(作品をお読みになった時点で、同意いただいたものといたします。)
本文
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青色の不死の星。
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魔力が尽きるまで戦うのは、やっぱり怖かった。
強大な魔法、存在感。鋭い眼光。
そして「……でも、その程度か。」という言葉が、何度も胸の中で反響する。
ざわめく心と呼吸を落ち着かせるように、カチョロは眠るほめとを強く抱きしめていた。
怖い思いをさせてしまった。
カチョロの瞳から、ずっと我慢していた涙が、そっとこぼれ始めた。
ほめとが「ん?」と、小さく声をもらして目を覚まし、混乱した様子で、あわてて立ち上がる。
ほめと「か、カチョロ!!??えっと、大変なんだ、宇宙船にさやらんっていう変な奴が襲ってきて~!!」
ことおが「大丈夫、大丈夫♪」と、すかさず、空中に新しいモニターを浮かび上がらせ、通信を始める。
映し出されたのは、宇宙船内……ちわたたちの姿だった。
ちわた「ほめともカチョロも、無事でよかった~!!オレたちも無事!!」
コック早乙女「ご心配なさらず♪」
ちわた、まちる、モジ、ピピヨン、ちえる店長、コック早乙女、たんぽぽ、ふうが、ささめき、むむ、さくま、とおこたち……大切な仲間、頼もしい救世主。その姿や声が次々と確認でき、ほめとは、心の底からほっとした。
ほめとは、涙を流すカチョロのマントの中にもぐりこみ、ぎゅっと体を抱きしめた。
ほめと「カチョロ、ありがとう。暗いところに閉じ込められて怖かったけど、痛いこととか、何もされてないし、怪我もしてないよ。
……カチョロが助けてくれるって、信じてたから。だから平気だった。」
声も、ぬくもりも、確かにここにある。
小さな命の灯火のあたたかさが、胸の奥まで届いてくる。
カチョロは、ふるえるように息をついた。
無事なんだ。
何も失っていない。
生きて、そばにいてくれる。
それだけで、もう……十分。
カチョロ「ありがとう、ほめと君。大好き。大好き。」
ほめと「オレも。大好き。」
カチョロはほめとを抱きしめかえした。
カチョロは、ほめとの四葉のクローバー型のブローチを取り出した。そこには、ほめとの魔力と、からすから受け取った深海の力が宿っている。
カチョロはその力で、自分の魔力を回復させたあと、そっとブローチをほめとの胸元に戻す……。
ほめと「これ、役にたった?」
カチョロ「もちろん。心の支えだった。ほめと君の魔力は、もったいなくて使えなかった。だからこそ、自分の力で頑張ろうって、思えた。」
ほめとがブローチにそっと触れた……深海の力がはじけて、違和感に気が付く。
ほめと「なんか、パワーアップしてる気がするんだけど!?」
カチョロは、何でもないような顔でほほえんだ。
カチョロ「そうかな?気にしないで。」
からすは、ミニキス、タコパチ、フィカキス、そしてユニタスに声をかけていた。しかし、みんなまだむにゃむにゃしていて、目覚める様子はない。
からす「だめだ、目覚めない。難しい魔法で眠らされているんだ……。しかし、超新聖爆発の光は止まっている。今すぐ宇宙が崩壊する心配はない……はずだ。
今は、時空のトンネルにいるさくら君たちの方が心配だ。ことお君、ミニキス君たちの睡眠魔法を解く魔法、解読できるか?わたしは、さくら君を助ける。
仲間は取り戻せた。あとは、ブレイブ☆タコキスと深海の力を信じることにする……タコタコタコ星、滅びた星、そして宇宙を修復、回復してもらおう。
さくら君たちが、宇宙の深層を目指す理由は、もうないはずだ。早く状況を伝えて、助け出さないと。」
からすは、空中に光の糸を出現させた。その糸で、自分のマウスと、ことおのコンピューターをつなぐ……すると、からすの魔法モニターに、ことおのコンピューターと同じ画面が映し出された。さくらたちの居場所を検索している様子が表示されている。
進行状況は、80%……85%……
あと少しで、見つかりそうだ。
ことおは、もう一台のコンピューターを操作し、ミニキスたちを眠らせている魔法を解く方法を調べはじめた。
宇宙船内のちわた達を映すモニター、さくらたちの居場所を検索しているモニター、ミニキスたちを眠らせている魔法を解く方法を調べるモニター……三台のモニターが、それぞれ光っている。
ことお「まかせてよ♪……カチョロ。さやらんは、本物じゃないって言ってたけど、どういうこと?さやらんについて、何か気づいたことがあるんだろ?共有してもらってもいい?」
カチョロは、目を合わせようとしなかった。どこか、言いたくなさそうな様子だった。しかし、黙っているわけにもいかない。
カチョロは、意を決して口を開いた。
カチョロ「落ち着いて聞いてね。……本物のさやらんは、どこかに閉じ込められているのか、身動きが取れない状況なのだと思うよ。あの子はいつも強くて、秘密が多くて、そして、真面目だとは言えないような雰囲気を身にまとっていたから……、利用されてしまったのだと思う。
あの底なしの魔力。宇宙を超えて届く遠距離魔法……そんなもの、
ありえない。
……僕たちの前に現れたさやらんの正体は、セカイ(全宇宙)を司る魔法使い。
コメット。
間違いないよ。
僕が戦ったのは……完全な状態の深海の力。
アルコンスィエルさんや、からす君が持つ深海の力なんて、そのほんの一部にすぎない。
本来の深海の力は全能の魔法。
愛も、勇気も、関係ない。指先ひとつで、過去も未来も、物質も感情も……全宇宙の何もかもを、思い通りに変えてしまえる。
セカイに吹く風、運命、そのものなんだ。」
からす「し、しかし!コメットは……イフクーンに酷いことをされて、悲しんで……最終的に、自分で、自分の心を壊して、消してしまったのだろう?
自分がセカイを司る魔法使いだったことも、深海の力の存在も、人格も、正義の心も……何もかもを忘れて、失って……!
そして、金魚八に封印されていたはずだ。
コメットが心を取り戻した瞬間が、このセカイの終わりだって、そういう話だったじゃないか!
カチョロさんに剣を向けるなんて……。どうして。
……いったい、何が起きてるんだ!?」
カチョロ「コメットさんはね……。いや、この話は、……する必要、ないか。からす君、それよりも早く、さくら君たちを救出しよう。
僕が時空のトンネルに降りて、みんなを連れて戻ってくればいい話なんだけど……嫌な予感がするんだ。簡単なことじゃないかもしれない。」
そのとき、宇宙船内のモニターに、ふうがとささめきの姿が映し出された。
ふうが「おれだ~、ふうがだ!!からす!カチョロ!それから~、ことお!♪
宇宙の深層にいるさやらん…いや、コメットのことは、ゆずはにまかせろ!
ゆずははひとりで、霊魔法で深層を目指してるんだ!」
ささめき「ゆずは君は、もうかなり深いところまで降りてるみたいよ。ふうが兄さんの霊魔法のメッセージも、もう届かないらしいわ。今さら戻ってこいと伝えるのも難しい。黒幕のことは……あいつを信じて、任せましょう。
さぁ早く、さくらたちを助けるのよ!!」
進行状況は、95%……100%……さくらたちの居場所が特定された。