
はじめに
OSAKA INDIE GAMES SUMMIT(OIGS)と大阪ゲームダンジョンで配布した、短編小説(加筆修正版)です。
ゲーム「座敷童カレシILOVEラーメン」と小説「星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~」の関連作品(知らなくても大丈夫、読みやすさを意識して作りました!)。座敷童カレシILOVEラーメン本編(おまけストーリー含む)プレイ後に読んでいただけると、より楽しめると思います。
「星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~」完結から50年後くらい後のお話。結末のネタバレ、未来のお話を含みますので、今、星のはなびら2読んでいるよ~!という方は是非、本編を読み終わってから、こちらの小説をご覧くださいね♪
関連作品紹介
座敷童カレシILOVEラーメン
星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~

関連曲など
キャラのお顔

(声、すごくかっこいいからきいてみてね……!!!)

座敷童カレシ番外編☆にいすいVSタコタコタコ星
舞台は『座敷童カレシILOVEラーメン』の約5年前。主人公は……妖怪 座敷童のにいすい!
深海みたいに暗くて、でも限りない可能性を秘めた宇宙。
その中に、「青色の不死の星」と呼ばれる星があった。
この星は、強大な魔法を操る特別な存在「星の化身」が生み出した仕組みによって、現世と異世界……いくつもの世界が重なり合い、形作られている。
星の化身とその仲間たちは、星を司る使命を背負い、長い年月、この星を維持し、守り続けてきた。
そして、この星に生まれた「人間」という種族は……。現世で一度きりの人生を終えると、星の化身の魔法に導かれ、異世界で再び目を覚ます。夢や未練、願いを抱えたまま。
異世界では、人生の続きを選ぶことも、真っ白に生まれ変わることもできる。
ここは、一人ひとりが幸せを探すための楽園。
しかし、あまりに広大なゆえに「再会」を果たすのは難しい。
再会も、新しい出会いも。それを導くのは、この宇宙の運命と、強い心だけ。
人々は広がり続ける異世界で、もう一度、新しい未来を歩き出していく。
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アート餅餅高糖学校(現世にある美術学校)
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週に一度の朝礼が始まる。
全校生徒と先生たちが、体育館に集まってくる。窓の外には真夏の青空。体育館の中には涼しいクーラーの風が流れている。並べられたパイプ椅子に座る生徒たちは、少し退屈そうにしていた。それぞれが個性的なファッションに身を包み、スケッチブックや画材を手にしている。やがて、暇を持て余したように、彼らはスケッチブックに思い思いの線を走らせ始めた。
先生A「生徒たち、そろそろ揃いそうです。校長先生、今日のお話はもう決めてありますか?」
にいすい「うん、ちゃんと決まってるよ。今日も準備ばっちり♪生徒たちにとっては、朝礼も校長の話も退屈なものに感じるかもしれない。でもね、だからこそ、真剣にやらなきゃいけないって思ってる。やらなくてもいい、めんどうだってものにしちゃだめだよね。僕の話が、生徒たちの夢やインスピレーションを動かして、今週もがんばろう!って思ってもらえるようにしたいよね♪」
先生A「……それで、今日はどんなお話を?」
にいすい「昨日、妻と娘が作ってくれた、「夏野菜入りのぎょうざ」がすごく可愛い形だったんだ。しかも味も抜群だった。その話をしようと思ってる♪
……マイクの音量、大丈夫かな? よし、それじゃあ、始めよう。」
先生A(やっぱり今週も……15分間、惚気全開ですか、校長ーーー!!)
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夕方・お仕事おわり
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僕(にいすい)は、空っぽになった水筒とノートパソコンをたたみ、バッグにしまった。
スマホを取り出し、妻のさっちゃんへメッセージ……「今日も校長任務完了☆ ドラマ一緒に観たいから、その時間までには帰宅予定。大好きだよ♪」、送信。
立ち上がって窓の外を見ると、きれいな月が浮かんでいた。校長室の鍵を閉め、早足で「次の仕事」へ向かう。
夜の桃餅町は、あたたかな街灯に照らされていた。近道をするために商店街へ入る。
仕事帰りの人、飲み会帰りの人。人々の暮らしと、にぎわいを感じながら……大通りを離れ、細い路地を抜ける。そこにはひっそりと建つ、小さなオフィスビルがあった。
僕はその中へ入り、エレベーターに乗り込む。
スマホを取り出すと、メッセージが一件届いていた。「了解。大好き☆」というメッセージを見て、思わず、ふふっと声に出して笑ってしまう。
予約していた会議室の扉を開ける。
会議開始までまだ一時間。僕が一番乗り……かと思ったが、すでに一人いた。
マリリン「……にいすい、遅ぇじゃねぇか。」
にいすい「いや、遅くはないよね!?」
マリリンは僕の可愛い後輩。僕が椅子に腰を下ろすより早く、彼はクリアファイルからチラシを抜き取り、ばーんと突きつけてきた。
にいすい「ちょ、近い近い!……なにこれ?」
目をこらして読む。
【桃餅商店街にラーメン店〈桜えびえびタコラーメン〉オープン】
にいすい「へぇ、この近くに新しいラーメン店ができたんだ。」
マリリン「店主は異星人なんだってよ♪カフェみたいに落ち着いた雰囲気で、メニューもオシャレ系らしい!見ろよ!看板メニューは「桜えびえびタコラーメン」!黄金色の塩スープに、桜色の小さなエビがカリッと浮かんでる。しかもほら、顔つきのタコさんウインナー!可愛いだろ?こんなの、誰だって写真撮りたくなっちまうよな♪俺は、この半熟の味玉が気になる……あっさりしてそうなのに、コクもあって……くぅッ、たまんねぇ~!」
にいすい「うんうん……♪」
マリリン「決まりだな。今から食べに行くぞ!ついて来い!!」
にいすい「ええっ!?今から!?一時間後に会議だよ!?」
マリリン「だから「遅ぇ」って言ったんだ!一時間あれば余裕だろ!ラーメン!ラーメン!」
マリリンはラーメンのスペシャリストで、ラーメンが大好きだ。いや、好きって気持ちだけじゃないか。好きって気持ちを超えている気がする。だから、辛いことがあっても、努力し続けられる。学びたくて、知りたくて。その情熱が、火柱みたいにメラメラと伝わってくる。熱気が、隣にいるだけでこっちに燃え移ってくる。
僕たちは、夜の桃餅町を駆け抜け、新しくできたラーメン店へと走った。
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一時間後・会議室
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会議室には十人ほどが腰を下ろしていた。
誰ひとり人間ではない。そこにいるのは、妖怪「座敷童(ざしきわらし)」。
これから、みんなで座敷童会議を始めるのだ。
このグループのリーダーの僕(にいすい)はホワイトボードに今日の議題を書き出す。
「座敷童としての心構え!身だしなみ編」
座敷童はこの星の妖怪で、百人くらいいる。現世の人間、家や店に憑りつき、その人間の一回目の人生を、豊かに、幸せに導く使命を持つ特別な存在だ。異世界の管理に忙しい星の化身の代わりに、妖怪一丸となって、現世の管理を担当しているというわけだ。
僕はもうすぐ百歳になる。学校に憑き、家族と子どもたちを支えてきた。これからも力を尽くすつもり。
マリリンはもうすぐ三十歳。座敷童としてはまだ若手で、僕にとっては息子のような、教え子のような存在かな。彼はまだ誰にも憑りついたことはないけれど、いつか大好きなラーメン店に憑りつくことを夢見ている。だからこそ、座敷童としての務めも、ラーメンのことも、誰よりも熱心に学んでいる。
僕たち座敷童は人間ではない。だから、生まれるときは空から落ちてくる。寿命は千年と長いけれど、人生は一度きり。使命と役目を引き継ぐため、心を一つにするため、皆で楽しく暮らしていくために、僕たちは週に一度ほど集まって座敷童会議を開いている。
……会議が始まろうとしたとき、ひとりの座敷童が立ち上がり、窓を開けた。
その理由を察して、僕はマリリンに目をやる。彼も気づいていたようで、焦った顔でポケットからマスクを取り出し、素早く装着した。
会議室に漂うのは、強烈なニンニクの香り。
(なんだこのニオイ!)(ヤバすぎ)
座敷童たちが顔を見合わせている。
「桜えびえびタコラーメン」は美味しかった。
でも、見た目の可愛らしさに反して、味はスタミナ系だった……。
がっつりニンニクだったのだ。
別の座敷童も立ち上がり、窓を開ける。空気清浄機がウィーンと音を立てて稼働する。
ごめん、ごめん……
みんなごめん……。
にいすい「急用ができたから、今日の座敷童会議はこれにて終了!」
僕はたまらず、そう宣言し、みんなを解散させた。
……会議室に残ったのは僕とマリリンだけ。
にいすい「……。」
マリリン「……。」
互いに無言で反省する。ちょっと気まずい……。
そのとき、マリリンがはっと立ち上がった。
マリリン「にいすい!!!」
にいすい「な、なに!?!?」
真剣な表情で、マリリンは「……ラーメンの写真、撮り忘れた。」と言った。
………美味しすぎて我慢できなかったんだ。お互いにね。
僕は困ったように笑った。


