ゲーム「座敷童カレシILOVEラーメン」の終盤で、ゆずはが来店するシーンの、ゆずは視点の短い文です。時系列的には、小説「星のはなびら2」から50年くらい経っていて、ゆずは先輩と霊魔法はさらに、未知の方向性でパワーアップしている……というお話です。星のはなびら2を読んだ後&座敷童カレシILOVEラーメンをプレイしたあとにお読みください。

※ゆずは先輩はマジでリアルタイムで宇宙を守ってます!笑
本文
からすさんに誘われて、今日オープンのラーメン店、ささみウママ亭にやってきた。店の前で、皆と待ち合わせ……オレとふうがが一番乗りか。ちょっと早く来すぎたかな?
のれんを見つめながら、ふうがに、「ラーメンかぁ……オレ、外食、結構久しぶり。」なんて言ってみる。
まぁ正確には、昨日も今日も、そして明日も食べている……今この瞬間も、別次元のオレが食べてるけど。この時空では久しぶりで間違ってない、はず。
何不安になってるんだよ……オレってば、霊魔法強化するだけじゃなくてさ、こういうところも、もっとしっかりした方がいいと思うよ?宇宙を守るだけじゃ、ふうがは守れないんだって、わかってる?
ふうが「ゆずは、そうだよな〜!おれは外食好きだけど……ゆずはは、この星に来るのも久しぶりだよな?一緒に来られて嬉しいぞ!いっぱい食べような♪」
良かった、合ってた合ってた……ふうがの笑顔、見られて嬉しい。
何があっても、オレが守ってあげるからね……。
からす「やぁ、ゆずは君、ふうが君♪」
さくら「ゆずは先輩、久しぶり♪」
ゆずは「あっ……」
からすさんとさくら君もやって来た。
(えーっと、この時空のからすさん達は、何してるんだっけ?
そうそう、座敷童と協力してるんだよね。
星の化身としての仕事を座敷童と分担してる。それで、星の人々の幸せを少しでも豊かにしようとしているんだ。
……死後の世界を作ったのはさくら君だけど、あの頃の彼に人間ひとりひとりを見守る余裕なんてなかったし……今も、その本質は変わらないのかもしれないな。
とにかく、幸せを呼ぶ妖怪に任せるのは、星の運営として見れば悪くない判断だと思う。)
……という考えを霊魔法でひとまとめにして思考にセット、からすさんたちとの世間話に混ぜて、活用。
からす「なるほど。ゆずは君は頼もしいなぁ。また相談にのってくれ♪」
ゆずは「そう言われると照れるよ。これからも、皆で頑張ろう。」
さくら「さすがだな、ゆずは先輩♪……今も宇宙管理してるのか?」
ゆずは「いや?今は何もしてないよ。せっかくラーメン食べに来たのに、仕事しながらじゃ、楽しめないし。」
さくら「だよな!超うめぇらしいし、今日は肩の力抜いて、皆で楽しもうぜ!」
からすさんが、「にいすい君みっけ〜♪」と、座敷童のにいすいさんを連れてくる。
にいすい「おはよう、皆♪」
少し緊張している様子のにいすいさん……この人、普段は優しいけど、ちょっと面倒くさいんだよなぁ。
いつだったか……オレが軽い気持ちで、効率重視で、ひとりひとりの人間の記憶を把握しながら宇宙を守ってるって言ったら、「いくら親しくても、君が強くても、そういうことを打ち明けるのは良くないよ。秘密を守ることって、信頼を守る上で、すっごく大切なことなんだからさ。思いやりの心を忘れないようにしようね。」って、校長室で叱られたんだよな。
いや、でも、……宇宙管理してるオレのことを、叱ってくれる人がいるのは……幸せなことか。
ゆずは「やぁ、にいすいさん、久しぶり。」
にいすい「えっ……初対面、だよね?」
ゆずは(おっと、失敗しちゃった……それ、この時空じゃなかった〜!)
深く突っ込まずに、苦笑いで流してくれるにいすいさん……大人な対応、ありがとう。
ーーーー
明るい店内、生きている人の気配、湯気、熱気を感じながら、ふうがたちとカウンター席に座る。
店内BGM、ちょっとでかくない?あと1.226754349572……下げたら、オレの鼓膜にもちょうど良く収まる気がする。ばれない範囲で調整しておこう。ピッ。
メニュー……ないの?そういうスタイルの店なのか。
とりあえずおまかせにしたけど、どんなラーメンが来るんだろう。
ピッ(脳内通知音)【未来予測:次に運ばれてくるラーメン(精度100%)】
……ちょ、霊魔法。ネタバレやめろよッ!
もう……、未来のオレ。しっかりしてくれって……こういう通知はいらなんだよ。
待ってる間、何しよう。
時間感覚をスキップしてもいいけど……そういえば、座敷童の波長は深海の力とはまるで別物なんだっけ……別宇宙で分析して、暇つぶししてみるか。こういうのは何回分析しても、面白いんだよな。
【脳内に新宇宙を生成、分析開始。】
カウンターで働く座敷童、マリリンさんの波長も流れ込んでくる……真面目な顔してるけど、カノジョのことで頭いっぱいだな。
ーーーー
ふうがと雑談していると、ラーメンが運ばれてきた……どんなラーメンかな?
【分析結果: ラーメンの成分表】
だから、ネタバレやめろって!
未来のオレってば……ちょっかいかけるの、楽しんでるんじゃない?こういうお楽しみは、ネタバレなしで、純粋に感じたいっていう気持ち、……オレならわかるだろ?
やれやれ……いつか、痛い目みるよ?
【別次元のゆずはが、宇宙の歪みを検知しました】
はいはい。そんなに騒ぐなよ……ラーメン冷めちゃうって。
霊魔法で片付けるから……はい、対応済。えっと……割り箸、割り箸……。
ふうが「ゆずは、なにボーッとしてるんだ?ラーメンに見とれちまってるのか?……あはは、すっげぇ美味しそうだよな!早くいただきますして食べたいぞ。」
ゆずは(ほら、怪しまれちゃったじゃん。ふうが、勘が鋭いんだから……。)
ゆずは「鼻ムズムズしてただけだよ。いただきますしようっか。」
いただきます。ふうがが笑顔でラーメンを食べはじめる。すするのがちょっと下手くそなのが、可愛いんだよな。
箸で麺をもちあげて……口に運ぶ。さっき、成分の分析結果でてたけど……あれに、味覚の刺激と……ここにいる全員の感情の揺れを足して、もう一回、再分析してみようかな。
こういうのが、後々、意外なところで役に立つんだよな。
ふうが「あ!ゆずは、普通に食べてないだろ!真面目に味わえよ、作ってくれた人に失礼だろ!」
ゆずは「……た、食べてるよ!」
ふうがに嘘はつけないな……再分析?やめやめ。肉体を巻き戻し、味覚を基準値へ補正……うん、おいしい、マジでおいしいよ。
食べたラーメンは……余らせてもしょうがないし、霊魔力に変換しておこうっと。
こういうのが、後々、意外なところで役に立つ……。
ーーーー
ん?……ふうがとオキ、さくら、ユニタスがトッピングを交換して味見し合っている。楽しそう、お、オレも混ぜてほしい……ッ、いや、別にいいや。オレの食べかけなんて、キモイって思われるよな……唾液とか……入ってるもんな……。
オキ「おかわりしたいんだけど、激辛より辛いラーメンってないのかな?」
ユニタス「店主のささみさんに相談してみたらどうですか?好みに合わせて作ってくれるみたいですよ♪」
さくら「俺は甘い方が好きかなぁ……。もっとメンマ食いてぇ~!俺もおかわりしよっかな、メンマだけ……!」
ふうが「ゆずはも味見するか?辛いやつと甘いやつ、食べ比べたら楽しいぞ。」
ゆずは(え、いいの?ふうがってマジで優しいな……そうだよな、他のやつはともかく、ふうががオレのことキモイって思うわけないんだ。ていうか、オレはキモくない……いつもふうががそうやって、言ってくれてるじゃないか。もっとふうがのこと、信じないとな。オレ自身のことも。
ふうが……ありがとう。いつもオレに希望をくれて。ふうがのために、オレ、もっと強くなるから。頑張るから。)
ゆずは「ふうが、愛してるよ」
ふうが「は?今、愛してるとか言う雰囲気じゃないと思うぞ……。」
【別次元のゆずはが、時空崩落の前兆を通告】
はいはい、対応済。
【別次元のゆずはが通告 時空崩落に繋がるバタフライエフェクトを検出しました。ラーメンを食べきらない場合、宇宙崩壊率が上昇】
何?そんな微妙な数字出されても困るんだけどな……はいはい、了解。
……全部食べるつもりだから、大丈夫だって。
ん?過去のオレがSOS?……うん、落ち着いて。大丈夫、もう対応したから。
ゆずは「こっちのラーメンの味も……すごくおいしいね。ハマりそう、ふふ♪」
ふうが「おれのラーメンが一番おいしいけど、全部おいしいよな〜!次来た時は、別の味のラーメンを食べてみたいって思ったぞ!」
こういう、何気ない日常がいちばん幸せ、なんだよな……再確認したよ。
ささみ「お水入れましょうか?」
ゆずは「……あっ、お願いします。」
ささみさんの声から、生き物の温度を感じる……オレにも、こんな頃があったのかな。
もう思い出せないような、あるような、ないような。
切ないような、寂しいような、懐かしいような……胸の中、複雑な気持ちがフワッと揺れる。
窓の外の景色を眺め、誰にも聞こえない声で呟く。
ゆずは「オレ……歳をとったのかな。」
【別次元のゆずはが通告】
【別次元のゆずはが通告】
……ちょっ、今のは突っ込むなよ!全部歳のせいで通してくれって。
……ああもう、マジで。しっかりしろよな、オレ。
ーー(別次元)ーー
からすさんに誘われて、今日オープンのラーメン店、ささみウママ亭にやってきた。
店の前で待ち合わせ。にいすいさんと、からすさんと、マリリンさんが見える……声かけよっかな。
なんて声かける?ちょっと待って、この時空は……えっと、このタイミングがマリリンさんとの初対面なんだっけ?そうだよな、初対面だよな。
……今回は、なんて言おうかな
「まさか、ラーメン食べさせるためにオレを呼んだの?オレ、忙しいんだけど……?」にしようかな。
かっこつけすぎかな?いや、自信持っていかないと。
かっこつけてるくらいが、ちょうどいい♪って、別次元のオレも言ってるし?♪

【END】


