【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】18話(最終話)

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・青色の不死の星

からす・カチョロ・ほめと・ことお

さくら・オキ(と、くま)・クロサキ

ミニキス・タコパチ・フィカキス・ユニタス

・モニター越し

ちわた、まちる、モジ、ピピヨン、ちえる店長、コック早乙女、たんぽぽ

ふうが、ささめき、むむ、さくま、とおこ

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しばらくして……。

光のロープを辿り、からすとさくらが、モニターの中からゆっくりと姿を現した。ふたりとも疲れきっていた。

カチョロは、すぐにふたりを抱きしめ、優しい光の魔法で癒やしの力を注いだ。

その場に集まっていた全員が、胸をなでおろす。

……だが、ひとり、帰ってこなかった。

イフクーンの姿がないことに気づいたクロサキは、周囲を見渡したあと、ぽつりとつぶやいた。

クロサキ「……イフクーンのやつ、ロープを登る体力がなかったのか?」

さくらは答えようとしなかった。

ただ俯いたまま、かすれた声を漏らす。

さくら「……助けられなかった。」

一瞬、沈黙。クロサキは軽く息をつき、無理やり明るさをまとわせた声で答えた。

クロサキ「……そっか。な、……なら仕方ねぇな。」

ことおが、無邪気な口調でフォローを入れる。

ことお「イフクーンはきっと、遠い宇宙で元気にやってると思うよ〜。気を落とさず☆」

クロサキ「ああ。あいつのリーダーシップと意思、それに……金魚八は、オレが受け継ぐってことで。」

小さく笑ったその顔には、どこか寂しさもにじんでいたが、すぐに頬をぺちぺち叩いて、キリっとした笑顔になった。

クロサキ「さあ、立て直そうぜ!!この状況を何とかしねぇとな!!……からす、お前、マシロとタコダイオウの夢を見たんだってな?さくらに聞いた。」

それまでぼんやりしていたからすが、その名前を聞いて顔をあげた。

からす「……ああ。見たぞ。覚えてる。」

その目には、決意の光が宿っていた。

からす「ふたりは生きている。今は超新聖爆発の影響で、ここからかなり離れた場所にいるようだ。でも大丈夫。今から魔法通信で繋げる。すぐに話せるはずだ。」

からすはモニターを一つ増やし、マウスをカチカチっと操作して、イカパチたちの居場所を検索しはじめた。

進行状況は、95%……

さくら「ミニキスたちも、ユニタスも無事でよかった。」

ミニキス「ありがとう。でもな、戦いには負けたし、タコタコタコ星、守られへんかったんや……。

絶望のタコパチが襲ってきて、幻影ってすぐ気づいたんやけど、それでもタコパチの姿してるから、上手く攻撃できへんかった……。」

フィカキスは、ほめとに、ぬいぐるみみたいに抱かれながら、ぷにぷにされている。

フィカキス「その後、気を失いそうになった時や。空間に裂け目ができて、そこから黒くて大きな手が出てきて……鷲掴みにされて、真っ暗な部屋に連れ去られたんや。」

ほめと「お、オレも、そんな感じだったよ……。」

フィカキス「あれ、ほんまに怖かったよな……。ほめとさんみたいに戦わへん学生とか、ただ暮らしてる人まで巻き込まれて……ほんまにかわいそうや。」

ほめとは変わり果てた空を見上げて、不安そうに言った。

ほめと「……もう、家には帰れないのかな。」

モニターの向こうでは、たんぽぽやちわた、モジ達も、どこか不安そうな表情を浮かべている。

ほめとの肩に、そっと、タコパチが手を置いた。

タコパチ「ほめとさん。みんなも、大丈夫。心配しないで。まだ希望はある。

……タコタコタコ星は、僕たちが取り戻す。

宇宙の星々も、ぜんぶ。」

タコパチはステッキをぎゅっと握り直した。

カチョロ「僕も、頑張るからね。」

その言葉に、ほめとは力強く頷いた。

モニターからふうがたちの声が聞こえた。

ふうが「ユニタス~!!元気か~?」

ユニタス「ふうがさん!ええ、この通り、ピンピンしています。

実は、ふうがさんとゆずはさんたちと別れたあと、ささめきさんたちとお寿司を食べたところまでは覚えているのですが……その後の記憶が、まったくなくて……。

いろいろとご迷惑をおかけしてしまったようですが、レットデビル☆カンパニーの一員として、皆さんの力になれるよう、頑張ります!」

ささめき「私たちのこと、覚えてるなら十分よ。気をとりなおして、いきましょう♪」

さくま「宇宙船はタコタコタコ星があった場所に向かっている。復活したら、ちわた達を一番に降ろしてやりたいからな。ククク……。」

むむ「その後、青色の星に帰るからね!絶対無事で帰るから!」

とおこ「日常を取り戻しましょう、うふふ♪」

とおこはかえるたちと、扇子で仰ぎながらくつろいでいる。

さくら「ふうがさん、ゆずは先輩は?」

ふうが「ゆずははひとりで、霊魔法で宇宙の深層を目指してるんだ。コメットを見に行ったんだ。」

さくら「だ、大丈夫なのかよ……。か、カチョロさん、どう思う?」

カチョロ「危なくなる前に引き返して、戻ってこられるといいんだけどね。ゆずは君と霊魔法の実力は、僕にとっても未知。信じて待つことしかできない。」

ふうが「ゆずはは大丈夫だ。絶対。」

進行状況は、100%……

からす「イカパチ君と魔法通信が繋がったぞ!皆、モニターに注目してくれ!」

モニターには、宇宙空間に浮かぶイカパチの姿が映し出された。服はボロボロに破れ、肌には傷がいくつも残っている。

その腕には、巨大な岩と、気を失ったタコダイオウが抱えられていた。

それでもイカパチの表情は、きりっとしていた。

傷だらけの姿にもかかわらず、どこかたくましく、元気そうに見えた。

タコパチ「イカパチ!大丈夫?」

クロサキ「マシロ!!よかった、無事で……!!」

イカパチ「お兄ちゃん、クロサキ君♪僕は無事だよ。

まさか、僕が時限爆弾ゲームに負けちゃうなんてね。

ここぞって時に負けるの、スリルあるよね☆

爆発して吹き飛ばされたけど、深海の力で筋肉を強化して、タコダイオウを守ったんだ。

魔法やバリアじゃ、多分無理だったと思う。

自分の肉体を信じて正解だったよ。」

ミニキス「そ、その岩はなんや?」

イカパチ「タコタコタコ星の岩だよ。タコダイオウは星から出られないから、緑色の星を運んだ時みたいに、星ごと持って行こうと思って……でも、こんなにちっちゃくなっちゃった。」

クロサキ「流石だぜ、マシロ……!!」

その時、タコダイオウが目を覚ました。

タコダイオウ「いてて……。ここは宇宙?社長……僕は……僕は……。」

周りを見渡し、状況を理解すると、目にみるみる涙がたまっていく。

タコダイオウ「タコタコタコ星も、レッドデビル☆カンパニーも、大好きな仕事も……失ってしまったんですか?」

イカパチ「大丈夫、大丈夫。泣かないで。心配いらないよ。

タコダイオウは、青色の星で待機してて。レッドデビル☆カンパニーの一員として、仲間を支えてあげて。」

タコダイオウ「……わかりました!!」

イカパチ「お兄ちゃん、ミニキス君。ワープして、僕のところに来てくれる?タコダイオウとこの岩を、青色の星に運びたい。」

タコパチ「任せて!ミニキス、変身しよう!」

ミニキス「タコパチ、いくで!」

ミニキスは肩にフィカキスを乗せ、静かにタコパチと見つめ合った。

ふたりの瞳が輝き、光の粒がキラキラと舞い上がる!

タコパチ・ミニキス「変身☆ブレイブ☆タコキス」

くるりと回ってポーズを決めた瞬間、勇気の魔法が二人をやさしく、でも力強く包み込む。

ブレイブ☆タコキスは、宙に浮かぶ巨大な魔法陣を展開した。

その中心に飛び込むと、次の瞬間にはイカパチのすぐ隣にワープしていた。

合流を確認すると、同じ魔法陣にタコダイオウ(と岩)が入っていく。

青色の星。タコダイオウが転がるように飛び出してきた。

タコダイオウが、転がり出てくる。その直後、ゴロゴロと迫る巨大な岩。

近くで見ると想像以上の大きさだ。一戸建ての家くらいある。

クロサキ「これ、ずっと抱えてたのか……!?」

転がれば大惨事になる。すかさずオキが前に出て、岩を両腕で受け止めて、動かないように固定した。

ユニタスがタコダイオウの元へと駆け寄る。

ユニタス「タコダイオウ!大丈夫ですか?」

タコダイオウ「……大丈夫ですか?って言いたいのは、僕の方ですよ。ユニタス。」

差し出されたユニタスの手をしっかりと握りしめ、タコダイオウは立ち上がる。

ユニタス「ふふふ、ありがとうございます。」

異星の地面に足をつけたとき、ふたりの手のぬくもりが、そっと心をあたためた。

……さぁ、宇宙を取り戻せ!

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「さぁ、タコキスヒール☆ギャラクシーで、宇宙回復させよう!

迷いない瞳の輝き。メガネをくいっと押し上げた仕草。決意が宿る。

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「オレらの魔法、深海の力、愛と勇気は、絶対、奇跡を運んでくれるんや!」

その言葉に、胸の奥が熱く。鼓動が高鳴る、エネルギーが溢れ出す。

イカパチも一歩前に出た。

イカパチ「僕も一緒にやる!お兄ちゃんたちと力を合わせて、宇宙と星を、取り戻すんだ!」

カチョロ「……僕も行くよ。ほめと君、待っていてね。」

ほめとに目線を向け、柔らかく微笑む。

ほめと「カチョロ!頑張って!」

魔法陣に足を踏み入れる。次の瞬間、ブレイブ☆タコキスの元へワープした。

カチョロ「時空と……皆の安心と日常を、修復しよう。」

……その時、風が吹いて、まばゆい金色の光が舞いはじめた。

光の正体は……ひまわりの花びら

渦を巻くように飛び交う花びらの中心に、ひとりの人影が現れた。

モニターを祈るように見ていたさくらが、目を見開いた。ふうがが満面の笑みで叫ぶ。

ふうが「ゆずはーーー!!!遅いぞ!!」

さくらも安心する。

さくら「マジで無事でよかった~……。」

表情は静かに、しかしその瞳には強い決意が宿っている。

ゆずは「ミニキスさん、タコパチさん、イカパチさん、カチョロさん。」

一人ひとりの名前を呼び、まっすぐ前を見る。

ゆずは「オレもやるよ。

この宇宙は、いつも幸せに包まれてるわけじゃない。

誰かの後悔も、悲しみも、間違いも、入り混じってる。

……でも、今を生きてる人たちがいる。

オレはその今を守りたい。

過去は変えられない。でも、今は、誰にとっても自由自在だ。

なにもかもをやり直せるってことを……伝えたいんだ。

オレの力は、誰か一人のためにあるものじゃない。

愛している人が、今を生きるために、

この宇宙にある全ての人を守るためにあるんだ!!」

強い光と共に、魔法使いたちが舞い上がる。

宇宙の今と未来を背負って、再生が、いま始まる。

目を閉じ、歯を食いしばり、こぶしを握り締める。

ステッキを掲げる。

ブレイブ☆タコキスの瞳が、熱く熱く燃え上がる。

重なる力と心を感じ、全て素直に受け入れる。

さぁ、よみがえれ!!!

大きな声で唱える!!!

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タコキスヒール☆ギャラクシー

。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆。・゜

その瞬間。

視界が、世界が。

弾けるように輝いた。

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ステッキから広がる光は、深海の宇宙を包み込む。

この宇宙全体が真っ白の光となって、スローモーションのように舞い上がった。

。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆。・゜

満開の輝きを放つ光のはなびらが吹き荒れる。

強い思い、願いが、広がる。

守りたい、勇気は奇跡へと繋がって、一つの花となって

かたく、かたく固まっていく。

そして…‥

ひとつの宇宙へと

帰っていく。

。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆・゜・ 。・゜☆。・゜

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